マギ

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マギという漫画がある。すもももももも~地上最強のヨメ~を連載していた大高忍先生の描いた次回作、それも前作とはジャンルの異なる正統派な少年漫画である。わたしはこの漫画を途中までではあるが、かつて一度読んだことがあった。それを今回全巻購入する運びになった経緯とその感想を記したいと思う。

まず最初に、わたしはこの作品をこの時世だからこそ読んだわけではない。(コロナが蔓延しやることがない、というのはもちろんあるが)

初めての出会いは熊本にいた頃よく通っていた行きつけのカレー屋であった。そこにはたくさんの漫画が置いてあり、わたしはなんの因果かこの作品を20巻ほどまで読んでいた。今回ふとしたきっかけに思い出し、どうしても続きを読みたくなり、全巻購入に至ったのだ。蛇足だが、お気に入りのキャラクターはジュダル。

先に述べておくが、わたしは所謂「感動ポルノ」というものが好きではない。見ている・読んでいるこちらを泣かせようとするものが、媒体はなんにしろ好きではないのだ。

マギという作品は登場するキャラクターの壮絶な過去や現在を描いた物語である。であるからには、前述した「感動ポルノ」がどうしても不可欠であり、わたしも初めて読んだときの記憶を手繰り寄せながら「苦手なシーン」と再び向き合うことを覚悟していた。

登場する人々の葛藤や苦しみ、運命、現実は創作上のものとは言え、とても重く苦しく、陰鬱な雰囲気がどうしてもあった。ーバルバッド編(4巻 - 8巻)

そしてわたしはツイッターでフォロワーに購入を勧めているうちに、次第に「この作品は“面白い”と言えるものであるのか?」という疑問を胸に抱くようになった。

いつも真っ直ぐに人々を見つめ、前へ前へ導いていく創生の魔法使い・マギ、アラジン。そしてそのアラジンが選んだ王、アリババ・サルージャ。二人と共に戦いたいと次第に願うようになる、元奴隷のモルジアナ。物語は主人公とも言えるこの三人を基軸に進んでいく。一昔で言えば“ちょろイン”の練紅玉。黒い野望をその胸に宿す練白龍。第一級特異点と言われるシンドバッド。アラジンと同じマギでありながら堕転した身であるジュダル。

わたしは物語の要と言われるストーリーよりも、合間に入るその他のキャラクター同士の関係性が大好きであった。時に泣きそうになりながら、時に笑い、時に胸を熱くする。

そう、ある瞬間までは。

 

つづく(現段階での感想のため、最後まで読んだらこの記事も修正すると思います)